1.はじめに
1-2.構成
理論編
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1-2-1.抽象的思考:価値観
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前回、優秀さの定義を本質的な思考力を持つ人材と定義し、本質的な思考力の定義を7つの要素で構成されるもの、と定義しました。
各要素についてそれぞれ見ていきたいと思います。今回は価値観です。
価値観とは、その名の通り何に価値を見出すかの判断基準です。具体的には、その人の好悪や正義や喜怒哀楽に基づく大切なものの判断基準です。
人の思考の中で最も深い部分に根差しており、何かで迷ったらこの価値観で判断をします。
また、多くの人が日常的に行う「非言語処理による判断」、言い換えると、言語化せずに「なんとなくで」判断する際にも、価値観に根差して判断されます。企業に言い換えれば企業理念に当たる部分です。
そして価値観のうち最も深い部分は、「何のために生きるのか」あるいは「自分とは何か」という問いに対する答えです。この問いに答えるために、様々なことを学び考える必要があります。命とは何か、人生とは何か、人とは何か、生きるとは、死とは、何が喜びか、など多様にあります。
しかし、価値観は親や学校の教育と自身の経験から主に醸成されますが、現代の教育や、得る経験は深いところに踏み込むことがないため、「何のために生きるのか」、そしてその答えにたどり着くための上記のような問いについて考える機会がありません。
一方で、人の意思決定プロセスで最も深い価値観の領域の中で、最も深い問いである「自分とは何か」、なしには、芯のない人生になってしまいます。それは本当の自分に出会っていないということです。
したがって、価値観の部分では、そのような最も深い問いと考え方を提示いたします。そのうえで、そうした問に答えるための考え方と参考となる文献を提示いたします。
今回は、仕事を対象に特定化して提示する「名著で仕事」ですので、仕事あるいはキャリアにおける自分とは何かについて、言い換えると「何のためにこの仕事をしているのか」、という問いに答えるために、様々なことを考えていく道筋を提示いたします。
これなしでは、心の奥底から湧き出るモチベーションがないため、パフォーマンスと成長速度に大きく影響してしまいますので、実は最も本質的で重要な部分と言えます。 -
基盤とした名著:ジェームズ・ギブソン『生態学的知覚システム』
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アフォーダンスは、動物(有機体)に対する「刺激」という従来の知覚心理学の概念とは異なり、環境に実在する動物(有機体)がその生活する環境を探索することによって獲得することができる意味/価値であると定義される。
つまり、事物への意味・価値は有機体によって恣意的に獲得されるもの。 獲得しようとしなければ得られないものでもある。
よりよい人生のために真理を獲得しようとする意志・思考を持つことが重要。