2.抽象的思考:価値観
2-1.人生観
本質的な仕事を理解する
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2-1-1.本質的な仕事とは
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本章は、抽象的思考のうち最も深いところに位置する価値観です。
メッセージおよび使命において、価値観とは「自分とは何か」であり、「何のためにいきるのか」という問いを考えることであり、それなしでは芯の抜けた人生になってしまうと説明しました。
そして、それを仕事の領域に設定した場合には、「何のために今の仕事をしているのか」という問いを考えることでした。
何のために今の仕事をしているのかということを考えること無しには、自分の人生の中での仕事の位置づけが不明ですし、それに対して今の仕事がどの程度適合しているかも不明です。
そのため、根源的なモチベーションが湧かず、心の底から頑張りたいと思う気持ち、今の自分が正しいという自信、そして仕事による喜び、が得られない可能性が高くなってしまいます。
せっかく人生の最も多くの時間を費やすものが単なる生活費獲得手段となり下がる可能性すらあります。
そうなると、仕事は喜びのないつらくしんどいものになり、余計に頑張る気が失せてしまい、成長が惹起されず、さらにやる気を失うという悪循環に陥ってしまいます。
どうせ、時間を費やすなら喜びを得られるようにするべきです。仕事なんでそんなものだとか、仕事は嫌なものなのは当然、という前近代の考え方は、人間への、人生への、そして自分への諦めです。
脳みそを使って正解のない問題を考えることが面倒なだけです。
方向を決めてもがくことが嫌なだけです。
人生で最も多くの時間を割く仕事に対して、真正面から向き合えずに逃げてしまうのなら、自分自身が心から幸福だと思える人生は手にすることができない可能性が非常に高いと思います。●●だから自分は幸せだと言い聞かせる幸せに陥ってしまいます。
そうならないためには、苦しくとも、自分自身と真正面から向き合うことが大切です。
自分自身と真正面から向き合うためには、どのような人生を送りたいか、自分がどうありたいか、自分は何に喜びを感じるか、といった本質的な問からスタートし、ビジョン・ミッションという生き方の軸に落とし、生き方の軸からバリュー・要素に落とします。
そのうえで、関わる世界の軸(仕事の軸)に落とし、生き方のストーリーを構築する、というプロセスが必要です。
仕事の軸は、何のためにこの仕事をしているのか、という問いに対する答えでもあります。
何のために今の仕事をしているのか、という問いへの答えになる仕事の軸を定めるためには、評価基準が必要であり、評価基準はどう生きたいかといったより深い本質的な問からしか定められません。 -
基盤とした名著:アイザイア・バーリン『自由論』
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バーリンが言う消極的自由とは各個人による活動が他人によって干渉されない状態であり、また自分のありたいようにある状態である。
消極的自由に対する自由の概念は積極的自由である。積極的自由の積極性とは自分自身を自分の意思的行為の道具でありたいという願望に起因する。
就職・仕事を消極的自由と位置付けるか積極的自由と位置付けるかを考えることが肝要。言い換えると、人生における仕事・就職の意味を考えることである。