4.抽象的思考:視座・視野
4-1.視座
判断
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4-1-1.判断力とは
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自分や会社などの時間・資産といった経営資源を何に投下するかを決めるもの。
最小レベルでは、朝起きて最初に何をするかから判断が始まる。
判断に至るには、状況の認知→非言語処理→言語化→決定というプロセスがあるが、多くは言語化を省略して非言語処理のうちに行われる。
これが、なんとなくが発生する要因。
一方で、非言語処理である以上、言語化されておらず再現性がないまたは低い、他者に説明または共有できない、そして判断力を蓄積できないという点で、非言語処理のままでは様々な方面で不都合であり不具合が発生する。
そのため、常に言語化した上での判断が必要であり、またそれを求められる。
したがって、判断とは、言語化されたうえで決定するものであるべき。
判断するには判断する基準が必要。
定量的な基準や規則など厳然たる根拠があれば、判断は実に簡単であり誰でもできる。
問題は、変数が多く不確実性が高い場合の判断基準をどうするかということである。
この場合は、カントのいうように「趣味(美的)判断」と「目的論的判断」の二つしかない。前者は最も根源的な部分である理念など。後者は前者に基づいて導出される目的など。
例えば、タスクレベルの判断であればであれば目的論的に判断を行い、経営レベルであれば趣味判断的に判断を行う(理念に基づいて判断する)。
つまり、まずは根本的な目的に立ち返り、その目的に適うかどうか、やる意義と価値があるかどうか、という価値観に根差して考えることが重要。
そのうえで、リスクとリターンの関係性、実現可能性などの実利的な部分を見て、実施可能かどうかの判断を行う。
趣味判断と目的論的判断の二つの判断方法・判断基準を常に持っておくことが重要。
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基盤とした名著:イマヌエル・カント『判断力批判』
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上級理性能力のひとつである判断力の統制的使用の批判を主題とする。しばしば第三批判とも呼ばれる。
第一部美的判断力の批判と第二部目的論的判断力の批判からなり、判断力に理性と感性を調和的に媒介する能力を認め、これが実践理性の象徴としての道徳的理想、神へ人間を向かわせる機縁となることを説く。
同時代の哲学や芸術理論に影響を与えただけでなく 美学、目的論、自然哲学においては現代も読まれる古典的大著である。